高砂コレクションの企画展 日本の雅―香文化の1400年は香りに興味がある人にとって、とても見応えのある企画展。
場所は、蒲田駅のすぐ近くにある高砂香料工業本社(ニッセイアロマスクエア)
木製漆塗りや陶器の香合、香炉などの香道具が展示されている。

香道具は繊細で美しい見た目だけではなく、香のたたずまい、人の動き、空気の流れまでも計算しつくされているという。
材質よって熱の伝わり方や色の変化も違い、木や竹は香を柔らかく守るため。
日本での香の起源は、585年に淡路島に漂着した良い香りの流木を、聖徳太子が「これは香木だ」と見抜いたこと。その香木は 「沈香(じんこう)」で、沈香は樹木が真菌感染や傷を受け、 樹脂を作り、それが長年かけて沈香になる。
聖徳太子孝養像の絵画も展示されている。

正倉院の香木、蘭奢待の展示も見ることができ、高砂香料は蘭奢待の香りを再現していて、実際に香りの体験もできます。
他にも龍涎香 、麝香、没薬などの展示もあり、それらも香りを嗅ぐことができます。
龍涎香はアンバーグリス、マッコウクジラの体内から時間をかけてごくまれに生成される物、見た目は木の塊のよう。
麝香は麝香鹿の雄の腹部にある麝香腺(香嚢)の分泌物
今はほとんど使われていないため、香りを嗅ぐのは貴重な体験。
古い欄引の展示もあり興味深い。蒸留によって精油や薬を抽出するための器具
アロマオイルの水蒸気蒸留法と同じようでもあるが、当時は香木や香料そのものが高価で、焚香で十分香りを楽しめたという背景もあり、植物精油を抽出してアロマオイルを作る文化は日本には根付かなかった。
一部の練香や薫物に香気成分を取り出すために使用との事。
