平安時代に書かれた源氏物語には香りが沢山登場します。前に京都の風俗博物館 に行ったのですが、 源氏物語の名場面を4分の1のスケールの模型と人形で展示していました。ここでお香の香りを衣装に移す様子がよくわかる展示がありました。
伏籠(ふせご)という道具の中にお香を焚いた香炉を置き、 伏籠の上に衣をかぶせることでお香の香りをしみこませている場面です。 ちょうど本を読んでいた頃でしたので一層興味深かったです。本は途中で挫折してますが。。。
展示物はそんなに多くはありませんが、頭の中でイメージしていたものとつながるのでとても楽しいです。
お香の松栄堂さんのホームページにも、平安時代のお香の使われ方が載っています。
香料を複雑に練り合わせ、香気を楽しむ「薫物」が貴族の生活の中でさかんに使われるようになります。貴族たちは自ら調合した薫物を炭火でくゆらせ、部屋や衣服への「移香」を楽しみました。
香老舗 松栄堂
源氏物語の世界だけではなく、平安貴族たちは自分の着物や部屋にお香の香りを移して着用していたのですね。今でいう香水とデュフューザーですね。平安時代はなんと贅沢で粋なことをしていたのでしょうと、その時は単純に思ったのですが、実は臭いをごまかすためでもあったそうです。そして、平民の生活はお香どころか貴族の生活とは思いっきりかけ離れている貧しい生活だったようで、たぶん悪臭も漂っていたのでしょう。
平安時代から伝わる薫物の代表的な香りは「六種の薫物」( むくさのたきもの ) と呼ばれます。
薫物に使われたものはアロマオイルにもある白檀( サンダルウッド )、 沈香( アガーウッド )丁子(クローブ)など。ジャコウジカの腹部にあるジャコウ腺の分泌物である麝香(ムスク)も使っていたようです。今は本物の麝香は入手困難のはず。
甲香という貝の一部を砕いたものも使っていたようです。香りって生活の上で大事ですが、贅沢なものでもありますね。
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